「インカインチ」は、南米ペルーのアマゾン熱帯雨林に分布するトウダイグサ科の蔓性常緑樹の実で、ペルーでは「サチャインチ」や「グリーンナッツ」とも呼ばれています。インチとは先住民のことばで命を意味するためインカインチとはインカのいのちという意味です。この実の油を搾った「インカインチオイル」が世界市場に出るきっかけとなったのは、2004年6月、食の都パリで開催された国際食用油コンクール「パリウォルル食用油サロン」でした。
オリーブオイルを除く植物油部門で、アルガンオイルやヘーゼルナッツオイルなど他の油を抑え金賞を獲得しました。日本市場では2006年1月に販売を開始。日本脂質栄養学会や食品化学工業学会ではその安全性や機能性を裏付ける論文が発表され、女性誌や生活提案誌、テレビの情報番組などのマスメディアが「体に良い油」や「美容に役立つ油」としてその魅力を紹介する機会が増えた。それに伴い商品の知名度は徐々に上昇し、有名百貨店や高級スーパーのグロッサリー売り場では、定番商品としてのポジションを確保しつつあります。
インカインチの利用の起源は古く、16世紀にスペイン人が到来する以前から、インカインチのさやをかたどった星型の土器が作られており、当時から人びとの生活に役立てられていたことが伺われる。アマゾンの先住民による伝統的利用法としては、ナッツをローストしてそのまま食べる他、スープ、調味料、トウモロコシの蒸し物の具材や、若葉のサラダ、焼きバナナサンドなど個性豊かな郷土料理の食材としても利用されていました。
また、オイル単体やオイルと搾り粕を混ぜ合わせたクリームを直接肌に塗布することもあり、皮膚の健康維持を助ける作用があると考えられています。このインカインチの製品化に取り組んだのは、発明家でありナチュラリストでもあるペルー人のホセ・アナヤ博士。インカインチの栄養価値は、絶妙なバランスで構成される必須脂肪酸と、アミノ酸が豊富で消化吸収性に優れた良質なタンパク質を多く含む点にあることから、インカインチの産業を興すことは、ペルー国内だけでなく世界の人びとの食生活に重要な価値を提供することになるとの認識が創業者を突き動かしてきました。
「インカインチオイル」はインカインチナッツのコールドプレス(冷温圧搾)
「インカグリーンナッツ・インカインチオイル」は、ペルーアマゾンで伝統的かつ、農薬を使用しない農法で栽培されたインカグリーンナッツを使用しています。また、樹木と農産物を同じ場所で同時に栽培する「アグロフォレストリー」方式により生産された種子も積極的に使用しています。
また、遺伝子組み換え原料や食品添加物などは一切使用しておりません。種子からオイルを作る搾油工程では、「コールドプレス(低温圧搾)方式」を採用しております。ヘキサンなどの溶剤を使用したり、精製などの化学的処理がなされていないことを保証いたします。すべての生産ロットについて日本国内で品質検査を行っています。
オメガ3が多いのに酸化に強い「インカインチオイル」
インカインチオイルの脂質を構成する脂肪酸組成は、オメガ3不飽和脂肪酸(α-リノレン酸)が多く、概ね50%を占めています。オメガ3の含有量としては、日本のマーケットで現在手に入る植物由来のオイルの中で、最も多い部類に入ります。一方、オメガ6(リノール酸)の含有率は30~35%ですから、必須脂肪酸(オメガ3とオメガ6)が、全体の80%以上と高い割合を占め、且つバランス良く含まれているのが特徴です。
インカインチオイルの抗酸化力を評価するため、油脂の抗酸化性を銅イオンの還元反応を利用するPAO-SO試験を行ったところ、インカインチオイルは、エクストラヴァージンオリーブ油、えごま油、アマニ油と比較して、2.3~2.5倍の抗酸化力を有することがわかりました。
インカインチオイルが高い抗酸化力を示す一つの要因として、インカインチオイルにはビタミンEの中でもとりわけ油を酸化から守る効果の高いガンマ・トコフェロールのとデルタ・トコフェロールが多く含まれている点があります。
インカインチのたんぱく質の特徴
インカインチのアミノ酸組成について、2002年にフロリダ州立大学の研究グループが興味深いデータを発表しています。インカインチには、WHO世界保健機関が推奨するアミノ酸摂取パターンとの比較において、2歳以下の乳幼児に対し摂取が推奨されているヒスチジンを除き、すべての必須アミノ酸について十分な量を含有しているとされています。これは、成人のアミノ酸摂取要求に対しては、完全なタンパク質であることを意味しますが、我々の知るところでは、植物の種子由来としてはこれほどまでに栄養的に完成度の高いたんぱく質は、他にはありません。
加工を加えない生のインカインチの種実は、TPCKトリプシン、TCKLキモトリプシン、ペプシンといった消化酵素によって完全には消化されませんが、加熱変性すれば直ちに消化されることが、試験管実験において確認されています。また、実験を行なった3種類の消化酵素のうち、ペプシンが加熱変性したインカインチを加水分解するにあたり最も有効であるということも報告されています。
※原料由来の成分が白濁したり、沈殿したりすることが ありますが、品質に変わりありません。